浴衣とトマト
梅雨も明け、連日の夏らしい日差しが燦々と。
夏はいいですねぇ~と爽やかに紹介したいところですが、
この季節の焙煎仕事は相当に辛い・・・。
店内のクーラーを20℃に設定し、風量を最強にしているにも関わらず、
たま造(焙煎機)が働くことで室内温度は30~32℃。
熱中症にならないよう、日々注意しながらこの季節を何とか凌いでおります。
自家焙煎屋にとって最も厳しい季節なわけです。
それでも夕方になるといい風が吹いたり、
蝉の声が遠くで聞こえたり、時には近所の風鈴が鳴ったり。
夏らしさを感じられる風や音はテンションを上げてくれますね。
さて、そんな夏真っ盛りでばて気味だった我々に
夏らしさ満載の爽やかな元気を与えてくれた2つ事件について今週はつらつらと。
まずはこちら。
当店の目の前にある鶏専門店「珠杏(じゅあん)」。
お店が終わった後、たまこさんと夕食をお世話になっております。
鶏肉は言うに及ばず、野菜がむちゃくちゃ美味しい。
ヘルシーなご飯をリーゾナブルにいただけるということで我々大ファンのお店なんです。
今回いただいた「トマトサラダ」。出てきたびっくり。
いろいろな種類のトマトが縦長の白いお皿に綺麗に行列。
バルサミコの効いたソースがトマトの甘さを引き立てて、美味美味。
ばて気味で食欲減退気味だったところに、目にも鮮やか清涼感が食欲を掻き立て、
あっという間に完食。
たまじ珈琲にご来店の際には「珠杏(じゅあん)」にもどうぞ。
ランチでもディナーでも、おすすめですよ。
鶏専門店「珠杏(じゅあん)」
http://tabelog.com/tokyo/A1318/A131805/13061385/
次に写真がこちら。
隣の駅(永福町)で夏祭りがあるということで、常連さんが浴衣姿でご来店。
大きめの金魚をあしらった浴衣。水の中を泳ぐ金魚が何とも涼しげ。
珈琲のご注文を受けるのも忘れ・・・
たまじ 「ブログに掲載したいので、写真撮ってもいいですか」
お客さま 「はい(笑顔)」
暑さを忘れ、背筋がシャンとしてiPhoneでパチリした写真がこれ。
自分で言うのもなんですが、いい写真だと思いませんか
個人的にとても気に入った1枚なんです。
お客さまの表情と、さり気なく当店の看板。
夏は始まったばかり。まだまだ辛い時期は続きますが、
今回紹介したような夏ならではの事件で、たまじ・たまこは頑張れるわけです。
今年は例年以上に暑さが厳しく、熱中症対策も重要。
皆さんも他人事と思わずに、くれぐれもご注意を。
我々も、他人ごとではないと思い、早速マイボトルを購入し、
少し温かいお茶を入れて持ち歩いております。
夏はキンキンに冷えた冷たいドリンクを飲みたいところですが、
敢えて少し温かいお茶、これもなかなか悪くないですよ。
冷房の効いた電車の中で、一口飲むを体の中がホンワカして不思議と気持ちいい。
皆さんの猛暑対策、教えてくださいね。
今週のブログはこのあたりで。
ではでは。
つかず離れず
10年以上、つかず離れずの付き合いをしている友人。
この年齢になると、こういう友人、皆さんも両手ぐらい存在するのでは。
そんな友人の中のひとりとある出来事がきっかけで
毎日のようにスマホで連絡をとり、定期的に会って真剣に今後を語り合った。
タイミング、縁、相互の利益、環境など複雑に絡み合う条件が
不思議なぐらい綺麗に解れて、ある一定の方向に動き出す。
動き出すと、一気にビジネスの重要な仲間に、さらに生涯の友になったり。
何とも人間関係とは摩訶不思議なものですね。
たまじは、いったい何が言いたいのか・・・と首を傾げる方もいらっしゃるかと。
頭の中に浮かんだフレーズをつらつらと書き綴った乱暴な入り方、お許しを。
この半年の間に自分が経験したことを立ち止まって振り返ったらこんな感じに。
何年後にこの時期に起こったことを振り返れば、
少なからず自分の人生に影響を及ぼした1年だったと思うだろうと。
そんな出来事が進行している最中に、別のつかず離れずの友人が
直接的ではないにせよ、少し離れたところから状況を見守ってくれて。
彼ともきっと近い将来にビジネスで一緒になり、
付かず離れずから、生涯の友になりそうと勝手に感じている。
最近の彼はベトナムを拠点とした仕事が急増しているらしく、
2~3ヶ月に1回のペースで出張している。
そんなMさんからお土産でいただいたのがこちら。
ベトナムの珈琲(約400g)と珈琲道具。
全部合わせて日本円で700~800円ほど。
物価が日本の10分の1程度と思えば、そんなものかと思えるものの、それにしても安い。
たまじ珈琲でもベトナムの豆は水出しアイス専用に扱っている。
珈琲の消費量が減少する暑い夏の救世主として、いい仕事をしてくれている。
アイス専用と書いたように、お湯で抽出するベトナム珈琲は
お世辞にもおいしいとは言い難い。深く焙煎し、細かく挽いたものを
麦茶と同じ要領で専用ドリップに入れる。適量の水を入れたポットに
その専用ドリップをほうり込んで冷蔵庫で10~15時間放置して出来上がり。
ポイントは温度が低い水で時間をかけて抽出することにより、
お湯でおいしくなかったベトナムが滑らかな、まぁるい味になり、
美味しくいただけるように変化する。そんな風に思っていたので、
今回のベトナムをお湯で楽しむお土産は正直恐る恐るという感じ。
道具の使い方はまともな説明書がないのでYouTubeで確認。
豆を見る限り、かなり深めの焙煎。焙煎度合が豆によりばらつきが
あるので、かなり大雑把な焙煎仕事。この時点でお湯で飲むのを
躊躇する気持ちがムクムクと目覚めるが、
郷に入らば郷に従えの精神で、とにかく試してみることに。
できあがったベトナム珈琲をまずは、味に厳しいたまこさんが試飲。
少し複雑な表情をした後に、ぼそっと「おいしいかも」。
次に、たまじが試飲。我々がおいしいと思っているストライクゾーン
ではないところに、ストライクと判断できるところがあったのか
これが率直な感想。確かに「不思議だけどおいしい」。
練乳がベトナム珈琲のごつごつした粗さを柔らかく包んで
舌触りも、味わいも丸く、一体感が感じられる。
疲れたときに、ショットグラスでぐびっと一口飲むと最高かも。
2012年の夏に訪れたブラジル。
灼熱の太陽のもとでガッツリと砂糖が入ったブラジル珈琲。
最初は、「あまっ!」「まず」という感想がブラジルの気候に体が馴染んでいくに
したがって体が求める=おいしいと感じるように変化して。
今回はベトナムという現地で飲んでいないので、決して同じ経験とは
言えないですが、異国の珈琲の美味しさを体で感じられたようで。
現在はつかず離れずの友人に感謝
そして、この友人と将来一緒に仕事をするであろういう自分の予感が当たり、
それが彼の人生にとってプラスとなることを祈りつつ。
そんな気持ちにさせてもらったベトナム珈琲でした。
今週のブログはこのあたりで。
ではでは。
たま蔵(焙煎機)
最近のブログタイトルを読み返してみると、珈琲に関係しているものの、
珈琲そのものの話題を扱っている記事が少ないことに愕然。
これはいかんなぁ・・・と反省し、珈琲屋らしく久しぶりに焙煎についてつらつらと。
当店の焙煎機は国内で5台しかないレアもの。
数が少ないことが必ずしもいいことばかりではないと認識した上で、
5台しかないことを「売り」にしているのも事実であります。
惚れ込んで選び、購入したこともあって立派な名前をつけました。
ちなみに、たまこさんが命名者。その名は「たま蔵」。
たまじ、たまこ、たま蔵と並べてみると「たま」つながりで驚きもないかもしれませんが、
我々としては結構いいネーミングということで気に入ってる。
ホームページやFacebookで何度もご覧になっている方も多いかと思いますが、
たま蔵はこんな感じ。
「たま蔵」とメタルシルバーは不釣合いといった感想をいただいたこともありますが、
このずんぐりむっくりした体系が「たま蔵」にピッタリということで気に入っております。
さて、前置きが長くなりすぎました。本題の焙煎について・・・。
この焙煎機に惚れ込んだポイントは次の3つ。
100gから短時間での少量焙煎
窯温度、熱風などの温度を1℃単位でコンピュータ制御
焙煎機の上部で焙煎、下部で急冷
1つめは「注文いただいてから焙煎=商品化する生珈琲」が作れるということ。
2つめの1℃単位のコントロールは、お客さま好みの焙煎ができるということ。
3つめの焙煎直後の急冷は、味を豆の中に閉じ込めることができるということ。
さらに1つめのポイントで嬉しいのは味だけでなくエコというポイント。
一般的に自家焙煎店で利用されている焙煎機は5kgとか10kgといった大型の窯。
これは大量の珈琲を一気に焙煎できるメリットがある一方で、
売れ残った商品は捨てる必要があるということ。
これは珈琲に限らず、食品を扱う商売であれば多かれ少なかれ止む無し。
しかし、たま蔵の場合は注文いただいてから焙煎するスタイルなので、
捨てる必要がまったくないこと。
あるとすれば、焙煎ミスしたものぐらいか・・・。
ミスした商品にならないものも自分たちで消費するので、捨てることはまずない。
エコは環境に優しいと同時に、商売における収支としても当然プラス効果。
こんなメリットのある、たま蔵。
ここまでだと、すべていいことのようですが、当然ながら課題も。
それは価格が高いこと。国内に5台しかない=高額は市場の原理として止む無し。
さらに、たま蔵を使いこなすために経験を積む時間が必要なこと。
技術的に難しいではなく、様々な経験を積まないと理解できないことが多い。
これはどの焙煎機も同様かもしれませんが、1℃単位で制御できる「たま蔵」は
裏返せば焙煎方法は無限にあるため、迷いだすと最適な答えが見つからない。
焙煎仕事は100点満点なんてないと師匠に言われたことがあるのを思い出す。
いまこうやって焙煎していて、その意味がはっきりと分かる。
100点満点はないけれど、1点でも高く、そして常にある一定以上の点数の商品を
作り出せるようになることが大事だとわかってきて、いまはそれを少しずつだけど
それを楽しめるようになってきた。
たまじの焙煎機、たま蔵について理解いただけたでしょうか
お店にお越しの際には、たま蔵を覗いてやってくださいね。
たま蔵の近くに来てもらってもOKですが、
窯はむちゃくちゃ熱いので、くれぐれも触らないようにお願いしますね。
今週のブログはこのあたりで。
ではでは。
岩沼 みんなの家
不思議なもので、タイミングは重なるものですね。
先週のブログで2014年も珈琲による震災支援に取り組みたいと書いたところ、
ちょうど1年ほど前に支援させていただいた方々から、珈琲の相談をいただきました。
たまじ珈琲を思い出し、相談いただいただけでも嬉しかったのですが、
珈琲の提供もさせていただくことに。何とも嬉しいことが重なりました。
今週のブログはこのテーマでつらつらと。
昨年夏、「岩沼みんなの家」が竣工されました。
こちらがオフィシャルサイト、運営されているインフォコム社のロゴと実際の写真。
http://minnanoie-iwanuma-infocom.com/
平屋造りで、中に入ると夏でも気持ちいい風が吹き抜ける空間。
子供のころ、夏休みに遊びに行った田舎のばあちゃん家で感じた夏の風と香りを思い出した。
新しいのに何だか懐かしい、そんな記憶が蘇る空間。
2013年夏。
「岩沼 みんなの家」が竣工に際し、たまこさんが知人からお手伝いのお誘いを受ける。
その中で珈琲の提供も相談をいただき、大量の水出しアイスを提供することに。
たまじ珈琲としては2013年も珈琲で震災支援活動をしたいと思っていたこともあり、
気合を入れて前日から現地入り。近くの温泉に1泊して当日は朝早くから作業開始。
暑さと闘いながらも、次から次にくる水出しアイスの注文を必死にさばく。
「おいしい~」
「すっきりして飲みやすい」
「普段飲めないのに、ストレートで飲める」
「ストレートなのに甘く感じる」
満面の笑顔で我々に向かって投げてくれるこれらの言葉。
珈琲屋にとって言うまでもなく最高の瞬間。
そんな時間はあっという間に過ぎ去って、「終わったぁ」と気を抜いた瞬間にドッと疲れが。
もう1歩も動けないというぐらいヘトヘトだったのを今でも覚えてる。
東京に向かう車を運転しながら震災支援に行くたびに湧き上がってくる気持ち。
体は極度に疲れていても、心が行く前よりも数倍元気になるという気持ち。
支援しに行く我々が、被災者の皆さんから元気をもらう。
何度経験しても不思議な感覚だけど、実際にそういう気持ちを感じるから間違いない。
1点の曇りもない気持ちで、明日から新たな気持ちで頑張ろうと、自然体でそう感じられる。
1年経った今でもいろいろなシーンが頭に浮かぶ「岩沼 みんなの家」。
こちらでカフェの運営が開始されることになり、たまじ珈琲が採用されることに。
商売という面だけじゃなく、思い入れが深いだけに
我々の珈琲がそこに来る方々に飲まれているシーンを想像するだけで嬉しくなる。
現地の皆さんが特別な想いをもって集う場所。
ひとりひとりの方にとって、その場所で過ごす時間が癒しとなり、明日への英気に。
たまじ珈琲がそれに一部でも関わっている、役に立っていると感じられるだけで
気持ちを込めた美味しい珈琲を送り続けねばと想う。
とにもかくにも嬉しい出来事でした。
珈琲でつながる関係。本当にいいですね。
幸せな仕事だと改めて感じます。改めて、支えてもらっている皆さんに感謝。
今週のブログはこのあたりで。
ではでは。